俺は今無限の剣の世界に立っている
目の前には赤い姿のあいつが立っていた
しかし今俺の前に居るあいつは
俺の追いかけてきたあいつとは雰囲気が少し違っていた
あいつは丘にある鞘に歩いていき
こう呟いた
「アルトリア」



































アンサー 第三話/聖杯戦争の真実



俺は見憶えのある教会の椅子で寝ていた
・・・此処は?確か俺は弓道場を出て家に帰っている途中で頭が痛くなって
「気がついたか、衛宮士郎」
「な、言峰!」
俺は立ち上がり戦闘態勢をとる
「そう警戒しなくてもいい、殺るつもりならお前が倒れた時に殺している」
「何故お前が生きている?」
そうだ、確かこいつはイリヤの屋敷で死んだはずだ
「ふん、助けて貰っておいていきなりだな。誰がお前を此処まで運んだと思っているんだ」
こいつはそんな事を言いやがった
此処まで運んだ?という事は俺はこいつにおぶさって此処まで運ばれてきたのか
その姿を想像してみる、その姿は余りにも恐かったので頭を振ってその想像を振り払った
「その事についてはとりあえず礼を言っておく。だが何故お前が生きている?」
俺の反応に満足したのか、クックックと笑っている
このくそ神父、俺をからかって遊んでやがる
「そんな事はどうでもいい事だが、知りたいなら教えてやろう衛宮士郎。私は10年前の聖杯戦争でセイバーが聖杯を破壊した時に聖杯の一部に触れ、心臓を失った。普通なら死んでいる所だが不完全でも聖杯は聖杯、私は心臓を失ってなお生きる身体になった」
「それだけじゃ、説明になっていない。お前はイリヤの屋敷で火に焼かれて死んだはずだ」
「人の話は最後まで聞くものだぞ。お前も知っていると思うが、私が聖杯に触れた時、同時にアーチャーも聖杯に触れ肉体を得たそして私とアーチャーは英霊のパスとは、別にもう一つのパスが繋がった。そのパスによってアーチャーが生きている限り私も死なないという訳だ理解できたかな?」
「いや、まだだ!アーチャーはセイバーが聖杯を破壊した後、孔に呑まれて死んだはずだ」
「案外鈍いのだな。大体聖杯が壊れてなお何故孔が存在する?」
「ま、まさか!アーチャーはまだ聖杯の中で生きているのか?いやそもそも聖杯はまだこの町に存在しているのか?」
「当たらずも遠からずと言ったとこか。あの時確かにセイバーの宝具で聖杯は破壊された。しかしあれも所詮は代わりの寄り代で存在した聖杯にすぎん。ならば本来聖杯の寄り代だったものを連れて来れば良いだけの話だろう。そうすれば少なくとも現界している事は可能だ」
「本来聖杯の寄り代だったものだと?」
「そうだ。本来前回の聖杯戦争の寄り代はアインツベルンの者がなるはずだった」
「だがイリヤは、アーチャーによって殺されたはずだ」
「確かにあの時は別の寄り代を用意していたから片方には死んでもらったのだが、もしもの場合に備えて魔力回路と魂は控えておいたのだ」
控えておいただと、ふざけるな死んだ人間を冒涜するにもほどがある
しかし本当にそんな事が可能なのか?
そこまで来て俺はさっき奴が言っていた事について一つの疑問が浮かんだ
「おい言峰!死んだ人間の魂をこの世に留めて置く事など可能なのか?それに連れて来ると言ったがイリヤは生きているのか?」
俺は少し冷静さを無くしながらも質問した
「その質問についてだが最初の方については答えてやろう。だがその前にお前は一つ勘違いをしている。そもそもイリヤスフィール・フォン・アインツベルンは人間ではない。あれは先代のアインツベルンの爺どもが聖杯の寄り代にするためだけに作ったホムンクルスに過ぎん。ならば答えは簡単別の入れ物つまりは、中身の入っていない身体を用意すればいいだけの話だ」
な、今こいつはなんて言った?イリヤが人間じゃないだと
それに聖杯の寄り代の為だけにイリヤを作っただと、ふざけるなそんな話があるか!
そんなものが許せるというのか
いやそんなものが許されていいはずが無い
大体俺は、聖杯戦争で犠牲になる何の関係もない人達の為に
この戦争に参加したんじゃないのか
それにも関らず近くに居たたった一人の女の子すら救う事ができなかったのか?
くそっ!これじゃあ、あいつの言っていた通り大を救う為に
小を切り捨てたのと同じじゃないか
自分の不甲斐無さが今日ほど腹が立ったことは無い
「そう悲観する事も無いぞ衛宮士郎。君の望みを実現するチャンスが今一度来るのだからな」
「それは・・・どういう事だ?」
「それについては、来るべき日が来た時に自ずと判る事だ。とりあえず今私が説明できる事はもう無い。今日の所はもう帰るのだな」
そう言い残してあいつは奥の方に歩いていった
俺は今日あいつに言われた事の事実に愕然としながら教会を後にした





・・・続く


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