俺の心には今一振りの剣がある
その剣からは、決して折れることの無い意思が感じられる
それは持ち主であるもう一人の自分の心
そして俺はその剣から流れ込んでくる経験に身を任せる
その動きはどこかセイバーに類似していた




































アンサー 第六話/初めての一撃



それまで防戦一方だった俺はセイバーの攻撃を受け流しながら
前に進んでいく
「・・!くっ」
セイバーがわずかに動揺し一瞬動きが鈍る
俺はその一瞬の隙を衝き攻めに転じる
セイバーの僅かに鈍った一撃を受け流し
もう一本の竹刀でセイバーの胴へつなぎ払いを放つ
「ハアアアアァァァァ」
「くっ」
セイバーは体を翻しそのなぎ払いを避ける
しかしそれは本命の一撃へ繋げる為のフェイント
体を翻したセイバーの死角へ回り込み
2本の内1本を弓に強化する
イメージする矢はランサーの宝具であるゲイボルク
その一撃は絶対なる必中の一撃
矢である竹刀にイメージした魔力を込める
弓を引き矢を構え、その矢の真名を唱える
「ゲイ・・・・ボルク」
矢を放つと同時に強化した弓を竹刀に戻し
セイバーに向かって走り出す
「くっ、ハアアアァァァ」
セイバーが魔力の篭った竹刀を弾き飛ばす
しかしそれは予測していた事
ランサーが放ったゲイボルクですら倒せないセイバーに
俺のイメージで敵うはずが無い
ならばその一撃を囮にし本命の一撃に繋げる
「ハアアアアァァァ」
次の瞬間俺は時間が止まったのかと思った
お互いの竹刀の先がお互いの首元に突きつけられている





長い沈黙の中セイバーが先に口を開いた
「シロウ、あなたの心見せて貰いました」
そう言ったセイバーの顔はとても穏やかだった
「そうか、結局心配掛けたみたいだな」
「はい、しかし子の道を正すのは私達師の勤めですから」
そうか結局今の俺には遠坂達の支えが必要なのか
そう判ってみると妙に心地良い気持ちになった
「でも流石はセイバーだよな、さっきのは完全に取ったと思ったんだけどな」
さっきの一撃は完全に取ったと思った
ゲイボルクをイメージした矢を弾いた時のセイバーは
今の俺なら十分に一本を取れていたはずだった
しかしセイバーは俺が攻める位置が判っていたかの様に
反応し相打ちに持ち込んだのだ
「私もあの動きには正直驚きました
特に胴へのなぎ払いからの一連の動作は無駄が無く
直感が働かなかったら完全にシロウの勝ちでした」
「見方だったら心強いスキルも敵になるとこれほど厄介なモノは無いな」
セイバーのスキル直感A
身の危険を今までの経験から敏感に感じ取り最善の動きをする
そんなスキルがあったんじゃ俺は何時まで経ってもセイバーに
一撃当てるなんて無理じゃないか
しかしセイバーは
「そろそろ実戦を想定した訓練に移っても良い頃かもしれませんね」
なんて事を言っている
「しかしアーチャーの次はランサーの宝具の摸影とは
これからの魔術の訓練に取り入れてみるのも良いかも知れませんね」
「それはあまり意味無いかもな
例えばゲイボルクで言うなら多分ランサーみたいに
突きでの攻撃はできないと思うんだ」
「それは何故ですかシロウ?」
「理由は2つあるんだけど、1つ目は担い手である俺の力量の問題
そして2つ目は宝具に送る魔力の問題だな」
「宝具に送る魔力ですか?」
「精神的な事なんだけど
実戦で宝具を使おうと思ったら落ち着いた状態で魔力を宝具に送らないと
本来の力は出せない。だから今の俺じゃあ、ある程度の状況でも落ち着いていられる
様は弓を持った状態でないと使えないんだ」
「なるほど、それではやはりこれからは実戦を想定した訓練をする事にしましょう」
「うっ、それはまだ早いんじゃないかな
大体今のセイバーにすら一本が取れないのに
本気になられたら俺の身体が危ないような気が」
「一本なら先程取ったじゃないですか
相打ちでも立派な一本ですシロウ」
何かセイバー怒ってないか?
というより間違い無く怒ってるよなあれは
しかし何で怒ってるんだ?
「私達を心配させたんですからそれ位はしてもらいます」
そんな事を言うセイバー
という事は遠坂も当然怒ってるよな
あっ何だか眩暈がしてきた
「明日は覚悟したほうがいいかも知れませんよ
それでは私はそろそろ寝ることにします
お休みなさいシロウ」
と言ってセイバーは道場を出て行った
なんだか赤い悪魔サイドに近づいてる気がするぞセイバー
何時までも此処で明日の事を考えていても仕方が無いので
俺も寝る事にした
イリヤを今度こそ助けてみせると自分に誓いを立てて




・・・続く


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