例えばそんな休日 「ねぇ伊織、それ、返してくれないかな?」 そんな、八雲の願いの声も何処吹く風、伊織は一向に動く気配が無い。 「そういえば、前もこうやって伊織を捕まえようとしてた」 そう、そしてそれはあの人との初めての出会い。 (ねぇ伊織、その写真は本当に大切な私の宝物なの。だからお願い返して伊織) しばらくの間、見つめ合って八雲が 「……おいで」 そう言うと伊織がにゃーと鳴き八雲の足に擦り寄ってきた。 「そうか、伊織は播磨さんに会いたかったんだね。だからこの写真を咥えて行って私を困らせれば来てくれると思ったんだ」 そしてもう一つ、私が播磨さんと同じ事をしたから寄って来た。 「そうだね。私は学校で会ってるけど伊織は偶にしか会えないから寂しかったんだね」 そう言ってあげると肯定の意味を込めた伊織の鳴き声が聞こえた。 「じゃあ、一緒にこの写真を見ながらお昼寝しよう伊織」 そして八雲は伊織を持ち上げて家の中に入っていった。
「八雲、ただいまー……あれ? 八雲ーっ?…あっ!」 天満が家に帰ってくると八雲と伊織が一緒になって眠っている。 「また、明日学校で会えるよ八雲」 |